法相会見(2023年9月13日)小泉法務大臣初登庁後記者会見の概要

小泉法務大臣初登庁後記者会見の概要 令和5年9月13日(水)(外部リンク:法務省ウェブ


冒頭発言 

 本日付けをもちまして法務大臣に就任させていただきました、衆議院議員の小泉龍司でございます。遅い時間になってしまいました。まずそのことをお詫び申し上げたいと思いますが、大勢の記者さんに残っていただいて、意思疎通ができること、大変ありがたく思います。お詫びを申し上げながら御礼を申し上げたいと思います。私も一生懸命全力を尽くして、職務にまい進していきますので、また皆様方の色々な知見、色々な価値観、色々な議論、そういったものを是非、率直にぶつけていただいて、お教えいただいて、私も舌足らずになることもあるかもしれませんけれども、多いかもしれませんけれども、気持ちを伝えながら、目的は一緒ですから、日本の国民のために適切な法務行政を実現すると、それを進めていくと、作っていくと。目的は一緒ですから、そういう気持ちで接していきましょう。仲良くというと語弊がありますが、気持ち仲良く、議論は厳しく。厳しくなければいいのですけども、一緒にやっていきたい。お世話になります。そういう意味で心から、お世話になるということをお願いしておきたいと思います。
 それから、大臣職というのは最終責任者であり、内閣というのが日本の国家の総元締めであるわけであります。それは政治主導という民主主義に基づいた一つの適切な権力の在り方として、議院内閣制の下で私は、大臣職に就かせていただいていますけれども、政治家だけではなく行政をつかさどる法務省のスタッフの方々も日々、最前線で政策を考えているわけですね。優秀な人材が大勢いますから、そういう方々の能力が発揮できるようにする。結果として国民をより幸せにすることが目的ですから、私が前へ出るよりも、(法務省の)職員の方々一人一人がやりがいを持って、思い切って能力を発揮してもらえれば、もっと進むかもしれない。そんな思いも、先ほど短い時間ですけれども、当省の幹部の方にもお伝えしました。生産性という言葉がありますけれども、これは経済分野の話ですけれども、政策の生産性というのも考えなければいけないと思います。正しい政策、よく考え抜かれた政策というのはそれだけ効果を発揮する、法務行政においても、私は同じだと思います。あらゆる行政において、効率的に無駄な時間を使わずに適切な勤務体制の下で、余裕を持ちながら頑張って仕事をしてください。そういうことも法務省の中で進めていければいいなというふうに思っています。
 法務行政について、私は改めてこうだというのもおこがましいですが、大きな建物の基礎の部分、上に大きな建物が立っている、見えない所の基本の所を支えていくのが法務行政だと思います。その家には時代に応じて色んな人が住む。外国人も住む、嵐の日もある、その上部構造が揺らいだときに基礎を見直そうと、もう一度強くしようということになります。家の場合は。国家においてもそれは同じであります。法務行政が直面している、今日、御質問もいくつかあるかもしれませんが、国際、グローバル化の中で、日本の上部構造が受けている様々なプレッシャー、そういったものを基礎部分で法務行政が支える、そこにまだまだ改善の余地がある、新しい仕組みを考える必要もある。そういったニーズが生まれてきているのだというふうに思います。抽象論ばかりで申し訳ないですが、そういう国際的な事情の大きな変更に対応していくというのも一つの大きなテーマだと思います。そういう点を踏まえて、今日、総理から各大臣共通に5項目の指示がありましたが、私、法務大臣に対しては7項目の具体的な指示がございました。それを簡単に要約して御説明したいと思います。かなり要約されたものですけれども、まだ絞り込めると思って、私なりの絞り込みをしていますけれども。
 1点目が、国民が頼れる司法に向けての司法(制度)改革を推進しなさい、こういう指示であります。弱い立場にある国民を守るということも法務行政の非常に究極的な目的の一つだと思います。弱い国民が身近に司法をアプローチの視野に入れることによって救われていく、そういったことを念頭に、国民の頼れる司法を推進してもらいたい。1点目です。
 2点目が人権救済の必要推進、これは個別法によるきめ細かい対応の積み重ねをしていきましょう、個別法によるきめ細かな人権救済を推進する。これが2点目です。
 3点目が、関係大臣と協力し、「世界一安全な国、日本」をつくるため、刑務所等出所者の再犯防止や社会復帰、片方で犯罪被害者の支援、組織犯罪対策など、社会を明るくするための施策を総合的に推進する。これもきめ細やかな国民への対応という流れの中の3点目です。
 4点目が、これが国際化と重なってきますけれども、我が国の領土・領海・領空の警戒監視について、関係大臣と緊密に連携し、緊張感を持って情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処する、領土・領空・領海の警戒監視のためしっかり行いなさいというのが4点目であります。
 5点目が技能実習制度の実態に即した発展的解消、人材確保と人材育成、その両方を目的とした新たな制度を創設する、そして、特定技能制度の適正化に向けた見直し等、これが一つの新しい政策の方向として御指示がありました。
 6点目が、観光立国にふさわしい入国管理を実現する。改正入管法に基づいて、これから施行されていくわけですが、適切な運用をしていく。
 7点目が、旧統一教会問題について関係大臣や関係機関と協力して、相談体制を充実させ、被害者に寄り添い、救済に万全を尽くすなど適切に対処する。こういう内容になっています。
 こういう総理の指示の中で、国際化が進む中の土台部分、弱い国民を守っていく、そういう点について職員の方々の能力をフルに発揮していただいて、その中で私も先頭に立って努力していきたいと思います。マスコミの皆さんともそういう意味で、良い緊張関係の中で十分な意思疎通を図りたいと願っておりますので、お手柔らかにお願いします。率直によろしくお願いしたいと思います。雑ぱくな話になりましたけれど、冒頭、私からの、総理の指示を踏まえた所信とさせていただきたいと思います。


こどもの在留特別許可に関する質疑について 

【記者】
 齋藤前大臣が強い思いでやってこられた、日本で生まれ育ちながらも在留資格がないこどもたちへの在留特別許可の方針が8月4日に示されていますけれども、小泉大臣は、この方針といいますか、この方向性といいますか、これについてはどのようにお考えで、御自身とすればどのように取り組むのかをお伺いしたいと思います。

【大臣】
 在留特別許可という人道配慮の観点が、そういったものを含めた裁量権が法務大臣にあるというところに着目して、また一方で、既存の法制度の不備があったので、こどもが長らく日本で成長を遂げていくことになって、そこに引き返せない大きな制約がかかってしまって、そういう矛盾を、今申し上げた、特別許可という裁量権を使って解決しようというもので、これは素晴らしい良いアイデアだと思います。良い知恵だと思います。良い判断だと私は思います。さすが齋藤大臣と、そういうふうに思います。ですから、私もこれの考え方をしっかり引き継いで、これから一つ一つ個別許可の段階に入っていくわけですので、よく実態を見ながら、その制度の包摂性も必要でありますけれども、より多くのこどもたちを救えるように、その家族も一緒に救えるように、齋藤大臣の意思をよく酌んで、幸い仲が良いですから、意思をよく酌んで、しっかりと対応していきたいと思っております。


国内人権機関の創設と国連人権機関の要請に関する質疑について 

【記者】
 小泉大臣の御出身地で、選挙区である埼玉11区というのは、1923年の関東大震災の際に、官民の流言飛語がきっかけで、多くの朝鮮人が虐殺された地域でもあります。そして、現在も毎年9月初旬に、各市長や町長なども参加してそれぞれ地元で追悼式が行われてきました。埼玉県発行の行政史や警察史にも、約160人から240人が犠牲になったという記載があるんですけれども、今年は関東大震災100年ということで、各地の追悼式の様子や、日本政府の政治責任ということについても国内外で注目されました。現在、法務省のほうでは、ヘイトスピーチやヘイトクライムを許さないという取組を行い、2016年にはヘイトスピーチ解消法が成立しましたが、限定的な理念法で、国連の人権機関からは、日本政府に対して繰り返し包括的差別禁止法の制定とか、それから独立した国内人権機関の創設を求めています。先ほど大臣、冒頭で、個別法によるきめ細やかな人権救済といった御発言がございましたが、それではとても今も対応できないので、専門的なやはり国内の人権機関が必要だというふうに国連からは勧告されているわけです。こういったふうに、100年前にこのような悲劇が小泉大臣の御出身の地域でもあったわけですが、この歴史事実に大臣はどのように向き合っていくお考えなのかというのが1点。それから、また今回外務大臣に就任された上川元法務大臣などとも連携して、国連人権機関からの再三の勧告内容に取り組むお考えがあるのかどうか。この2点についてお伺いします。

【大臣】
 包括的な差別禁止法の制定については、既に今まで1回2回、私の記憶でも1回2回大きな議論があって、法律改正の動きもあって、反対論もあって、今ここまで来たんですね。何も議論が行われてこなかったわけではなくて、議論の結果、今は包括的に進むやり方よりも、より実践的に個別法で対応していこうという形になっていますが、そもそも人権に対する意識というものは高まっていますよね。歴史的にね、地元どうこうというのは、ちょっと私もこれ、つまびらかではないんですけれども、戦前とか終戦直後とかに比べれば、ずっと人権意識というのは国民全体に広がっている。それはおっしゃるとおりです。それを何とか一番適切な制度に下ろしていくというところの方法論が、まだ御納得いただけていないわけですけれども、これ、また上川大臣とも意思疎通しながら、人権の問題についてはしっかりと意識を持ってこれからもフォローしていきたいと。そういう意味で、ずっとこの人権を我々が考え続けてきた。そういうふうに理解してください。ほったらかしにしているわけじゃない。不断の検討をしてきている。不断に取り組んできている。そういうことを理解していただきたいと思います。歴史とどう向き合っていくかということは、直接私もまだ見聞きしているわけではないので。ただ、大きな時代の流れは、人権というものを非常に他人事ではなく一人一人が身近に感じ、大事だと。そういう流れがあることは事実だと思いますのでね。それをどう法律上制度に落とし込むのが適切なのか。これは、我々は個別法の実践的なきめ細かな積み重ね。このアプローチをまず進めなければ。そういうふうに思っています。


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