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申 入 書

 

平成22年4月5日

厚生労働副大臣

細川 律夫 先生

 

在日ビルマ人難民申請弁護団   

事務局長 弁護士 渡 邉 彰 悟

担  当 弁護士 近 藤 博 徳

 

申入れの要旨

 出入国管理及び難民認定法61条2の2に基づき在留を特別に許可され「特定活動」の在留資格で本邦に在留する外国人が生活保護を受給することができるよう,通達等を通じて,関係各機関に対する指導を徹底されたい。

 

意見の理由

1 難民認定申請者に対する在留特別許可の現状

現在,難民認定申請を行った外国人の中には,難民不認定処分(若しくは異議申立却下処分)と同時に,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます。)61条の2の2第2項に基づいて,在留を特別に許可される者がおります。

難民認定者数がようやく年間50名[1]を超えた我が国の厳格な難民認定制度の運用下においては,当該在留特別許可が本来の難民該当者の救済機能を果たしているのが現状です。

ところで,このような経緯で在留特別許可を受けた者の中には,「特定活動」の在留資格を付与される者と「定住者」の在留資格を付与される者とが存在します。このような区別は入国後経過期間の長短等によって設けるとされていますが[2],その基準は絶対的ではないうえ,当該外国人が国籍国に帰りたくても帰ることができない状況は入国後の経過期間の長短は何らの関係もないはずです。したがって,かかる区別は,合理的なものではありません。

それにもかかわらず,彼らは,「定住者」の在留資格が認められないことにより,様々な不利益を被っています。その一つが,生活保護を受けることができないという問題です。

 

2 外国人に対する生活保護制度の適用(準用)基準

外国人に対する生活保護制度の適用については,昭和29年5月8日付社初第382号厚生省社会局長通知により,「一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱に準じて」保護を行うとされました(準用)。

そして,平成2年の口頭指示により,保護の準用の対象外国人は,適法に日本に滞在し,活動に制限を受けない永住,定住等の在留資格を有する者とされました。ここで具体例として掲げられたのは,  @入管法別表第2の在留資格を有する者(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者),A「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」上の特別永住者,B入管法上の認定難民でした。これにより,難民認定を受けることができない場合でも,入管法61条の2の2による在留特別許可により「定住者」の在留資格が付与される外国人については,上記@に該当するため,生活保護法が準用されることが明示されました。

しかし,同様の状況で「特定活動」の在留資格が付与された場合については明示的な説明がなされませんでした。

その後,2009年度に改訂された「生活保護法別冊問答集」(厚生労働省社会・援護局保護課作成)の「問13―32」「なお書き」において,新たに「入管法別表第1の5の特定活動の在留資格を有する者のうち日本国内での活動に制限を受けないもの等の上記@〜B以外の者について疑義がある場合には,厚生労働省に照会されたい。」との説明が付加されました。

しかし,実際にはその運用が徹底されていないため,窓口において,在留資格を理由に生活保護の受給資格はないと対応され,照会すらなされない事態が生じています。その結果,入管法61条2の2に基づき「特定活動」の在留資格を取得した外国人は,生活保護を受給しなければ生活できないような状況に陥った場合にも,生活保護を受給することができずに困窮に陥るという深刻な状態が生じています。

したがいまして,法61条の2の2第2項に基づいて,「特定活動」の在留資格を付与される者について,生活保護受給の機会を付与されるよう,その運用を徹底してくださいますようお願い申し上げる次第です。

以 上



[1] 法務省入国管理局発表,平成20年における難民認定者数等について

 出典URLhttp://www.moj.go.jp/PRESS/090130-1-1.pdf

[2] 2005年改訂難民事務取扱要領 第7章第1節第5


 

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