法務大臣 森 英介 殿
2009年8月28日
抗 議 書
全国難民弁護団連絡会議
代 表 伊 藤 和 夫
事務局長 渡 辺 彰 悟
2009年8月25日,東京入国管理局は,仮放免期間延長申請のために品川入管に出頭したミャンマー国籍の男性M氏に対して,延長不許可処分をするとともに,同施設に収容した(以下本件収容という)。M氏は再度の難民認定申請中で,その難民該当性が検討されているさなかであった。
本書は,本件収容処分に対して抗議の意思を表明するものである。
第1に,かかる収容は,難民認定申請者について原則として収容は回避されるべきものとするUNHCR執行委員会第44号の結論に反する収容であると言わざるを得ない。もともと,難民の認定そのものは宣言的なものであって,申請者といえども難民である可能性もあり,そのような者に対する人身の自由の制約はできる限り避けられるべきである。
第2に,入国管理局によるこれまでの運用に鑑みても,難民認定申請中の者に対しては,再度の申請の場合であっても収容をしない運用であったのであり,本件収容処分が平等原則に反し,裁量権行使の逸脱となることは明白である。
第3に,本件のように難民審査の途中での身柄の拘束は,立証責任を負担する申請者に対して難民該当性判断資料の収集等を困難にし大きな障害となるものであって,過度の制約となることは論を待たない。本来申請者に十分な主張立証を尽くさせる機会を保障することが手続の適正さを担保するものでもあるのに対して,本件収容はかかる適正さをも侵している。
以上から,私たち全国難民弁護団連絡会議は,入国管理局に対して直ちに下記のことをするように要求する。
1 本件の仮放免不許可処分を取消し,直ちにM氏の仮放免を延長すること,そうでないとしても,直ちに彼に対する仮放免を許可すること。
2 今後同様の事案について,本件と同様の仮放免延長の不許可処分とする運用をやめること
以上
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