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法務大臣 鳩山邦夫 殿
入国管理局 御中

2007101

 

在日ビルマ人難民申請弁護団
団  長 伊 藤 和 夫
事務局長 渡 辺 彰 悟

 

申入の趣旨

 

1 在日ビルマ人難民申請者について、今日のビルマ情勢に照らして、法務省において再度その庇護の必要性を勘案し、難民としての積極的な受け入れ、あるいは人道的配慮に基づく在留許可を付与されたい。

 

2 現在入国管理局に収容中のビルマ人難民申請者について,直ちに仮放免等の措置により解放されたい。

 

申入の理由

 

 ビルマにおいて88年以来の民主化に向けたデモが大規模に展開しています。残念ながら軍政(SPDC)は再び市民や僧侶に対して銃を向け流血の事態となり,日本人のカメラマンも死亡するという緊迫した事態になっています。SPDCはデモが外国からの策動によって引き起こされた等としてこれを完全に制圧する姿勢を崩していませんし,今後も暴力的な支配を継続する意思を露にしています。

 

 88918日の国家法秩序回復評議会(SLORC)による強権支配実行後,今日に至るまで,ビルマ人は軍によって,監視され,政治活動はおろか表現の自由も奪われてきました。その間,学生活動家や少数民族活動家等,反政府の活動のゆえに迫害を受ける恐れのある人々が日本で庇護を求めてきました。在日ビルマ人難民申請弁護団が扱ってきた難民申請者数は延べ500を超え,難民認定が131名,人道配慮に基づく在留特別許可が145名となっており,ビルマ人に対する庇護が日本の難民認定制度の中では非常に大きな割合を占めてきました。

 

 ただ,それでも個別の判断においては必ずしも庇護が与えられるとは限らず,相当数の人たちが民主化に向けた活動に従事しながら庇護を受けられないままに日本で不安定な地位に甘んじ,不安な日々を過ごしております。

 

 私たちはビルマ難民の事件を扱う中で,ビルマの人権状況の劣悪さと,また弾圧の苛烈な状況を様々な形で聴取してきました。私たちに日本での庇護を訴える彼らをあの圧政のもとに送り返すことはできない,彼らを難民条約のそって正当に保護することこそが私たち日本の責務でもあるという信念で活動をしてきました。

 

 私たちは,現在も不安な日々を過ごす,在日ビルマ人難民申請者について(既に行政或いは司法上の手続きが終了している者,手続終了後再度の難民申請をしている者も含めて),今日のビルマ情勢に照らして,法務省において再度その庇護の必要性を勘案し,難民としての積極的な受け入れ,或いは人道配慮に基づく在留許可を付与されたくお願いをする次第です。現状のビルマに彼らを強制的に送還すれば,海外特に反政府活動が熱心に展開されている日本からビルマ人が戻ってきたということで監視され,本人の意思や活動の程度如何を問わず,いかなる理由で身柄を拘束されるかわからない,そしてその彼らがその後どうなってしまうかわからないというリスクを負うことになります。

 また,日本で庇護を求めているビルマ人を現時点で送還するべきでないことはあきらかでありますので,入国管理局において収容中の難民申請者(上記括弧書き同様)について直ちに仮放免等の措置によりその身柄を解放するように求めるものであります。

 

 弁護団として、日本の地において祖国の民主化を願っている彼らを日本において庇護されるように要望致します。

以上

 

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