ホーム/ニュース > 声明/提言 > 200528日・申入書

 

200528

 

東京入管管理局局長 坂中英徳 殿

この間当弁護団が依頼を受けている難民申請者に対する違反調査・口頭審理,難民調査において通訳の件で十分な対応がなされていないと考えております。

ここで改めて,当弁護団の基本的な見解を以下のようにお伝えしておきたいと考えます。関係各部署に周知をお願いいたします。

 

難民申請者に対する事情の聴取については,退去強制手続,難民認定手続のいかんを問わず適正な能力のある通訳を必要としています。

また,彼らが本国での迫害を恐れているものであるため,同国人の通訳を使用されることについては慎重にならざるを得ません。同国人であれば,その通訳を通じて(たとえ秘密保持義務が課されていても)本国政府に難民申請者の事情が流れる危険性を否定できません。また,その危険の故に,難民申請者が十分に事情聴取において迫害の経験事実をありのままに語ることのできないおそれが生じてしまいます。かかる危険を回避するために,従前より当弁護団は日本人の通訳を使ってほしいと依頼をしてきました。

この間,この間通訳人が十分に確保できないという事情を勘案して,当弁護団としても,Tというビルマ人女性についてのみ通訳としての使用を受け容れてきました。ほかのビルマ人は受け容れておりません。

このTはご承知のようにかつて難民申請者でありましたが,日本の学校を卒業して日本語能力も十分であると考えるからであります。

 

ただ,ご留意いただきたい点もあります。ビルマ人の難民申請者には様々な理由による者がおります。特に近時増えてきておりますのはビルマにおける少数民族であります。この点でTはビルマ民族でありますので,少数民族の申請者が自分の事情を十分に彼女の前で陳述することができないという状況が生まれるおそれがあります。つまりTという個人の問題を超えて民族間の長年抱えている確執がインタビューの精度の障害となるということであります。

 

以上のとおりでありますので,当弁護団としては以下の申入れを致します。

 

1  基本的に日本人の通訳を用いること(但し,「浅野」という通訳の方はその通訳の能力が十分ではないので,この方は用いないでいただきたくお願いします)。

2  Tについての通訳はビルマ民族の場合に限ること

3  手続としては違反審査の段階においても通訳をつけること。

 

 

ぜひとも以上の点を十分にご理解のうえ今後の通訳の運用をお願い申し上げます。

以上

 

在日ビルマ人難民申請弁護団事務局長

弁護士 渡 辺 彰 悟

 

Copyright 2010 JLNR 全国難民弁護団連絡会議 All Rights Reserved