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難民事業本部 御中

 

質問および申入書

2004年8月13

 

アムネスティ・インターナショナル日本

全国難民弁護団連絡会議

 

 貴殿からご案内いただきました、「平成16年難民事業本部主催の難民受入状況調査(オーストラリアおよび英国・トルコ)への参加ご案内」につきまして、次のとおり、お伺いしたく、また、申入れをいたします。

 

質問および申入れの趣旨

 

1 「英国におけるクルド人難民等に対する支援状況調査およびトルコ国内の調査」をされるとありますが、クルド人難民に限定されたのはなぜですか、理由をご教示下さい。

2 トルコにおいてはどのような調査をされる予定なのでしょうか、詳細をご教示下さい。

3 トルコにおける調査内容によっては、トルコ国籍のクルド人難民認定申請者やその家族に対する迫害の危険を増幅する可能性がありますので、計画の見直しをお願い致します。

 

質問および申入れの理由

 

1 新聞報道もされましたのでご承知のことと思いますが、法務省入国管理局局付井上一朗および総務課難民認定室認定係長加藤輝昭が、2004年6月末から7月上旬にかけて、トルコ共和国において、警察官や軍関係者を伴って、日本で難民認定申請をしたトルコ国籍クルド人に関する調査として活動を行ったということが、200482日に明らかになりました(資料@A)。

 このような入国管理局の調査は、申請者に対する新たな迫害の危険を生じさせる行為であり、クルド難民弁護団および私達全国難民弁護団連絡会議としても、厳重な抗議の申入れを行ったところです。

2 このような調査報告書が提出された翌々日の8月4日付、貴殿から「平成16年難民事業本部主催の難民受入状況調査(オーストラリアおよび英国・トルコ)への参加ご案内」をお送り頂きました。

そこには、「関係政府機関職員」と共に、難民受入国調査としてオーストラリア、英国とともにトルコ共和国を訪問するという記述がありました。

3 しかし、同案内の「2」では、調査内容として「英国におけるクルド人難民等に対する支援状況調査およびトルコ国内の調査」とあり、さらに「(注4)」には「主に英国におけるクルド人難民・クルド人難民認定申請者の状況を調査し、トルコに立ち寄ります。」と記載されています。また、同添付の(別紙2)によれば、トルコ共和国においてはガジアンテップを訪問される予定となっています。ここは、上記入国管理局による調査対象になったトルコ国籍クルド人の出身地です。

4 このように、入国管理局の報告書提出の2日後という近接した時期に、「クルド難民」という限定した対象について英国で調査をし、かつ、その後に「トルコに立ち寄り」日本で難民認定申請をしているトルコ国籍クルド人の出身地であるガジアンテップを「関係政府機関職員」と共に訪れるということは、どのような意図があるのでしょうか。なぜトルコの「受入状況」を調査するために、難民の出身地を調査する必要があるのか理解できません。

貴殿の予定されているトルコでの調査は、入国管理局による調査と符合する点があまりに多く、かつ、「関係政府機関職員」も同行されることからすると、今回問題となっている入国管理局による調査と同様の目的があるのではないかという疑念を払拭し切れません。また、「政府関係機関職員」が同行し、調査が事前に公表された以上、トルコ共和国政府のなんらの関与なしに調査がなされることは不可能であり、調査の公正さ、ひいては貴機関の立場の公正さについて議論の対象となるおそれもあります。

5 そこで、冒頭に掲げた「1」「2」の点についてご確認させていただきたく、また、その内容によっては、トルコ国籍のクルド人難民認定申請者やその家族に対する迫害の危険を増幅する可能性がありますので、計画の見直しをお願い致します。

 

以上

 

添付資料

@200485日付朝日新聞記事

A同日付毎日新聞記事

B200484日付クルド難民弁護団作成の抗議声明

C同日付全国難民弁護団連絡会議作成の抗議声明

 

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