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200484

抗 議 声 明

全国難民弁護団連絡会議

代 表 伊 藤 和 夫

 

今般明らかとなった下記の法務省入国管理局職員によるトルコ国籍クルド人に関する難民認定申請者に対する調査活動は,およそ難民認定機関によるものとは信じがたい暴挙かつ愚挙であって,全国難民弁護団連絡会議は,かかる調査方法に関して法務省及び入国管理局に対して以下のように厳重に抗議し申入れをするものである。

 

 

今般の調査は,法務省入国管理局局付井上一朗および総務課難民認定室認定係長加藤輝昭が,2004年6月末から7月上旬にかけて,トルコ共和国において,警察官や軍関係者を伴って,日本で難民認定申請をしたトルコ国籍クルド人に関する調査として活動を行ったというものである。

 

第一に,かかる調査活動は,難民認定機関の負うべき守秘義務に明確に違反している。UNHCRは「申請者とその家族の安全確保と,申請者が提供した情報を保護するため,UNHCRは個別案件に関するいかなる情報も出身国に伝えてはならない」と明確に述べている。今回の調査は,この秘密保持義務に明らかに違反している。

第二に,今回の行為は、本国の当局に難民申請者の秘密を漏洩し、また難民申請者の家族にトルコ治安当局者の注意を向けるものである。かかる行為は,難民の保護を求める難民条約の精神に反することはもとより、自由権規約第7条,拷問等禁止条約第4条が禁じる拷問や、残虐で非人道的等の取り扱いを,出身国が申請者とその家族に対して行うことに,法務省入管職員が荷担するに等しい。

第三に,迫害の主体として難民申請者が訴えている本国の当局に情報を開示して申請者に関する様々な調査を行うことは,申請者に対する新たな迫害の危険を生じさせる行為にほかならず,難民認定機関が絶対にやってはならない行為である。今回の暴挙は,これまで難民認定処分のなかったクルド人をあらためて絶望の淵に落いやったばかりでなく,日本に庇護を求めている者にとっても日本の難民認定制度へのかすかな期待を完全に失わせるものとなった。まさに難民認定機関としての使命を忘却した行為であり,自らの責任を放棄し,「不認定機関」に自らを貶めたに等しい。

 

当会議は厳重抗議とともに以下の点を法務省に申し入れる。

1 今回の件については,どのレベルでの意思決定に基づいて調査が実施されたのか責任の所在を明らかにすること。

2 入国管理局は当該調査対象となった申請者全員に直ちに謝罪をすること。

3 法務大臣は当該調査対象となった申請者全員を直ちに難民として認定すること。

4 今後同様の調査を繰り返さないということを難民申請者に対して約束をすること。

以上

 

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