トップページ国会関連>2017年4月25日衆議院地方創生に関する特別委員会質疑 丸山穂高委員(維新)
   
  2017年6月6日
参議院内閣委員会質疑
清水貴之委員(維新)
 

○丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

私からも30分間、この法案について質疑させていただきたいと思います。

過去2回、いわゆる外国人の労働者の問題、また難民申請の問題、お話しさせていただきました。決して、この法案全体の趣旨としては、我々は反対というわけではなくて、しっかりこの特区の制度、地方の声も聞きながら進めてほしいというのはまず大前提にあるというのを改めて申し上げたいと思います。

一方で、特に、今回の特区法でいえば、農業分野に対して外国人の方を受け入れる枠をつくるという部分に関して、全体の外国人労働者受け入れの問題の中でのたてつけも含めて、少し、今後の将来的な不安を禁じ得ないというところから質疑させていただいておるんです。

まず、この特区での就労の解禁について。

現に今、日本では農業の従事者に外国の方はいらっしゃるわけで、この間の質疑でも、2.2万人ぐらいですか、2万人以上の方が既にもう従事しているわけですよ。そのほとんどは技能実習制度ということで、海外から日本に農業の技能を学ぶためにというたてつけで来られているというのが今の現状なんです。

一方で、今回の特区法も、地方からの要望を聞いていますと、お答えでも、農業従事者の減少、高齢化とか、そういった部分の対応として外国人を受け入れたいのだというのが地方からの要望なんですけれども、この要望だと、今申し上げた技能実習制度と何が違うんですかという部分になりかねないと思うんです。

少し緒方委員よりも御質問がありましたが、もう少し詳し目に聞いていきたいので、この点、お答えいただけますでしょうか。

○山北政府参考人 お答えをいたします。

本法案で手当てされています農業支援外国人受け入れ事業につきましては、経営規模の拡大ですとか、あるいは経営の多角化、高度化を図っていく、そういった形で強い農業を実現していく、そういう目的のことでございます。我が国の農業の現場で即戦力として活躍できる熟練作業者レベルの外国人材を労働力として受け入れるということを目的としているものでございます。

現場では、受け入れ農業者は、必ずしも年間を通じた作業があるわけではないということでございます。定植ですとかあるいは収穫等の農繁期を中心とした雇用ニーズが多いということもございますので、農業の専門知識と経験を有する熟練作業者を複数の農業者に派遣する枠組みとしたところでございます。

一方で、外国人技能実習制度につきましては、あくまでも国際協力の観点から、母国では修得できない技能等を一つの実習機関のもとで、年間を通した実習計画に従って農業の現場で実習、作業をしていただくということでございまして、目的が違うものというふうに認識しているところでございます。

○丸山委員 今回の特区法で、以前、この答弁でも、どれぐらいの規模の受け入れを今想定しているんですかというときに、300人ぐらいが今の想定だというお話で、今のお答えに対して、では300人で果たしてそのニーズに応えられるのかというと、私は、今聞いていて疑問だなと素直に感じました。

また同時に、つまり何をおっしゃったかというと、これまで来られている2万人以上の技能実習生の方は、基本的に学びに来られている方なんですね。一方で、今回の特区のものは、もう既に一定水準以上の技術を持った方に来てもらって、逆に助けてもらおうというのが基本的な趣旨だというのが今の答弁だと思うんです。

では、逆にお伺いしたいんですけれども、今回、農業分野で一定水準以上の技能等を有する外国人材を受け入れる、この一定水準の技能というのはどういうものを想定しているんですかね。この想定されている知識や技術の水準について、基準についてお伺いしたいんです。

○山北政府参考人 受け入れる外国人の要件につきましては、現在、政府部内で、農業の実情等を踏まえた適切な内容となるよう検討しているところでございます。

農林水産省といたしましては、本法案で受け入れる外国人は農業の専門知識と経験を有する熟練作業者ということでございますので、派遣先の農業経営者の与えた裁量の範囲内で、現場の状況に応じて作業手順をみずから考え、また、施肥ですとかあるいは農薬散布等の栽培管理や、収穫、出荷調製等の作業が行えるレベルの者とする方向で考えているところでございます。

この場合、専門知識ですとかあるいは経験につきましては、農業機械の操作ですとかあるいは農薬の取り扱い、施肥設計といった具体的に不可欠な項目について、試験により、一定以上のレベルであることを評価、確認する方向で検討しているところでございます。

○丸山委員 その試験についてお伺いしたいんですけれども、ペーパー試験ということになるんですか。

例えば、今のお話だと、必ずしも学位が必要だとか経験年数がどれぐらい必要だということではなさそうだと思うんですが、ペーパー試験でそれを見るのか、それとも、向こうからの申請の母体がそうだと言うなら、それをそういうふうに認めるのか、そのあたりはどのように想定されているんですか。

○山北政府参考人 お答えをいたします。

具体的な方法についてはまだ今後の検討ということでございますけれども、例えば、技能実習の3年間を終了した方というのに、言ってみれば終了したことを証するような試験というような制度もございます。そういった人であれば一定の技能は確認をされているということでございますが、そういったことも参考にしながら今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○丸山委員 技能実習を日本で終えられて、3年なり、今度5年に延びますけれども、これを終えられて帰った人を受け入れると、そもそもの趣旨と私は違うと思うんです。

そもそも技能実習制度は、趣旨として、実習生の技能の、日本の一応高いと位置づけられる技能の移転を図って、それをその国の経済発展を担う人材に移転することで、その国のそういった人材を育成するのを助けるんだというのが目的の趣旨なので、その人がまた日本に来てもらったら、この趣旨と大きくずれると思うんですけれども、そこはちょっと後ほど伺いたいんです。

そうすると、聞きたいんですけれども、実際に農業の現場がありますよね。その農業経営体において、この特区での事業と同時に、もちろん今の申し上げているような技能実習制度は日本全国適用ですから、特区で適用されていても、もちろん技能実習生の方もいらっしゃる。

その農業の経営体において、今回適用しようとする特区法での外国人労働者と、そして今もいらっしゃる技能実習生、こちらはどちらかというと専門家という意味では区別を今つけているわけで、明らかに差がないとおかしいと思うんですけれども、これは同じような作業をすることはない、してはいけないということでよろしいんでしょうか。

その場合、両者の作業は明らかに異ならないといけないと思うんですけれども、この区分けについてどう考えていらっしゃるのか、お答えいただけますか。

○山北政府参考人 お答えをいたします。

本事業の適用を受けた外国人材と技能実習生が同一の農業経営体でともに農作業に従事することというのは、それぞれ受け入れる制度が異なりますから、あり得ることだというふうには考えております。

両者が同一の農業経営体で農作業に従事する場合には、農業経営体の経営者が、制度の目的を踏まえて、両者の役割を決めていくことになると思います。

具体的には、技能実習については、年間の実習計画に従った工程の中でその作業に当たっていただくということになりますし、本法案によります外国人につきましては、経営者の指示に基づいて、その裁量の範囲内でその作業に当たっていただくことになるということでございます。

そういう意味では位置づけが違うというふうに思いますが、仮に何らかの問題が生じた場合には、本法におきましては、適正受け入れ管理協議会をつくりまして、派遣先農業経営体に現地調査が必要ならば現地調査を行って指導を行っていくといったようなことになりますし、技能実習がその目的に従っていないということであるならば、今回新たに11月に施行されます法律に基づきまして、適正な運営に向けた指導を行っていくということになろうかというふうに考えているところでございます。

○丸山委員 そうすると、違いが全然見えないんですけれども。

つまり、同じ作業をすることはできるけれども、では、技能実習生ではできない作業があるわけですね。そうしないと、今の特区で受け入れる方と技能実習で受け入れる方は能力が違うわけで、学んでもらうために来てもらう人が、結局こちらの特区と、専門的な技術を持っていると言っている特区の人と同じことができるんだったら何ら変わらないと思うんですけれども、その違いはどこにあるんですか。

ベン図的にはできないところがあるということでいいんですよね。技能実習生にはできないものがあるから、特区として来てもらうんだということでいいんでしょうか。

○山北政府参考人 お答えをいたします。

技能実習につきましては、先ほど申し上げましたとおり、年間の、言ってみれば実習計画に基づいて作業に当たるということですから、たまたま収穫というときにその作業をするということはあろうかというふうに思います。

また、今回の外国人につきましては、言ってみれば、収穫作業というようなときに、ある程度その圃場の収穫作業を任せられるような人材を今回、派遣という形で受け入れますので、それに基づいて経営者がそういった形で指示、派遣を受けた外国人に対して指示を置き、その中で例えば収穫作業に当たるということになろうかというふうに思います。そういう差があるということです。

作業そのものは、その時期において同じ作業をするということはあり得ると思いますけれども、実習計画に基づいて行う作業、当然ながら、その研修計画に基づいてということになりますけれども、そういった違いがあるというふうに考えているところでございます。

○丸山委員 聞いていらっしゃる皆さんも何のこっちゃと思っていらっしゃるかもしれませんが、お聞きしたいのは、何かだめだというよりは、細かく確認しておきたいんです。

技能実習生は、やはりまだ専門的になっていない技術の人たちなので、学びに来ているわけですよね。一方で、特区の方々は専門的な技術を持って来ているということなんですけれども、例えば今挙げられた収穫という作業がありますね。収穫という作業に関してはどちらもできるんだというのが今の御答弁だと思うんです。

でも、資格的にも、そして能力的にも違いがあるわけですから、こちらの専門的な方しかできないものがあるんじゃないんですか。それがどういうものをイメージされているのか、あるのかどうかも含めて、お伺いしたいということなんですが。

○山北政府参考人 お答えをいたします。

そういう意味では、範囲内というのは今回受け入れる外国人の方が広い。立場は同じ収穫作業にしても、例えば圃場の中のどこから優先的に収穫していくのかとか、そういったような判断もしながらしていくという意味では、作業を行える範囲は広いであろうと。

外国人の技能実習生においては、当然ながら、その実習計画の中でということですから、言ってみれば一定の指導を受けながらということになろうというふうに思いますので、そういった意味での違いはあろうかというふうに考えているところでございます。

○丸山委員 非常に線引きが曖昧で、恐らく現場でどうなっているかというのはよりわかりにくいので、いわゆる今まで言われているような、どういうふうに労働者の方々が働いているかわからないというところも踏まえて、この特区制度も非常にちゃんとチェックしていかないと、結局、では今申し上げたような技能実習制度と一緒じゃないかとか、もっといけば、労働者自体の待遇が悪化してえらいことになっているんじゃないかという危惧がますます広がりかねないと思います。

この問題ばかり詰めてもしようがないので、まずは注意喚起にとどめますけれども、この委員会でもしっかり見ていきますし、農水委員会でも見ていきますので、これは農水省さんも制度を創設する限りはしっかりと見ていく責任があると思いますので、必ずちゃんとチェックをよろしくお願い申し上げたいと思います。

それで、先ほど少し話題に上がっていきかけたんですけれども、何を問題に考えているかというと、技能実習制度を使った人たちが特区で来るのなら、結局、技能実習制度の趣旨と違うんじゃないかなというところは誰しも思うと思うんですね。簡単に言えば、技能実習制度の法のたてつけと現場のニーズが違うわけですよ。現場のニーズは、労働力が欲しいわけです。先ほどニーズがあるという話もしましたし、これまでの質疑でもそういう話ですね。

一方で、やはり入管法上もしくは制度上、一応きっちり、何のために呼ぶんですかというのを決めなきゃいけないので、さすがに労働力の確保のためということはできないので、基本的には学んでもらうためにと。人材として来てもらって学んでもらって、3年、5年、学んでもらって、学び終えたらその国に戻って、その国の経済発展のために、農業なら農業の発展のためにその人材を育成するんだというたてつけなのが、この技能実習制度です。

一方で、今の御答弁、少しありましたけれども、この帰ったはずの技能実習制度で学ばれた方が、今回特区でまた来られた、これは非常に、現場としてはニーズが恐らくあると思います。技能実習制度、これまでお聞きしていたら、3年とか、今度5年になる、この期限ぎりぎりで失踪される方とか、要は、まだ働きたい、もっと高いお給料で働きたいというニーズがある中で、結局、現場としてはそのままいてほしいというのが、労働者側も雇用者側も、雇っている側もそう思っていると思うんです。

一方で、特区で戻してしまったら、そもそもの技能実習制度の趣旨から大きく乖離しているじゃないかと言われてもしようがなくなると思うんですけれども、これが可能であるという理由は、どのように論理的にお話しされるのでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

○山北政府参考人 お答えをいたします。

外国人の要件につきましては、現在鋭意検討しているところでございますけれども、農林水産省としては、即戦力となり得る、農業に関する一定の知識経験を有する者としたいと考えております。この中には、技能実習を終了して帰国した者も含まれ得るというふうに考えているところでございます。

ただし、御指摘のとおり、技能実習制度は、我が国で開発された技能、技術等を開発途上地域に移転することによって国際協力を推進することを目的としておりますので、技能実習生は、実習の終了後、まずは帰国して、その国の経済発展に寄与していただくものというふうに考えているところでございます。

このため、技能実習生が実習の終了後、直ちに本制度における外国人農業支援人材となることは考えていないところでございます。

○丸山委員 今の御答弁だと、技能実習制度で帰ると。今も、3年から5年になったとき、3年でも一回帰らなきゃいけないという話なので、それも大変だというのは聞いているんです。いずれにしても、期限が切れようが延長しようが、一回帰るんですけれども、帰って、直ちにそれが次、特区制度でまたすぐ来るということはないという、今の明確な御答弁なんです。

技能実習制度を使って国に帰って、その国でその国の経済発展のために貢献したと言えた後、来てもらう分には恐らくいいというのが多分認識だと思うんですけれども、では、それはどれぐらいのイメージをしているんですか。直ちにというのはどういうものをイメージしているんですか。直ちに来ることはないというのは、どういうものをイメージしていますか。

○山北政府参考人 お答えをいたします。

あくまでも技能実習ですから、国際協力を推進ということで、帰国してその国の経済発展に寄与していただくということですので、期間によってそれを一律にということではないかなというふうに思っております。

例えば、帰ってみずから農業経営をやっていただく、段階的に規模を拡大していくというようなことがありますし、また、そういう中で新たな、言ってみれば、さらに技能を上げたいとか、規模拡大のために必要な、習得したいというようなこととあわせて入ってこられるケースもあろうと思います。

それから、例えば、みずからの農業経営が農閑期に入るといったようなケースを活用してこの国に入ってくるというようなケース、そうすることによってみずからの経営も発展していくといったようなこともあろうかと思いますので、一律に何年だから大丈夫ということではないかというふうにも考えているところでございます。

○丸山委員 うまくそこにずれがあれば、確かに、その国の農閑期に関して、日本の国が人材が欲しいというときには、確かにその趣旨と合っているかもしれませんね。

いずれにしても、今具体例を述べていただきましたので、具体的な年数ではないけれども、それぞれの事例に即してということですから、しっかり、それは制度の趣旨と乖離がないように見ていただいて、一人ひとり、300人程度ということなので、しっかり見られると思いますので、間違いないようにお願いしたいと思います。
 その300人程度の受け入れの想定について少し詳し目にお伺いしておきたいんですけれども、在留期間はどれぐらいになるということなんでしょうか。今だと、農閑期のときだけ来られる場合もあるというので、非常に短期なイメージでよろしいんでしょうかね。

また、その300人というのは、家族の滞在も入っているのかどうか。そういった家族滞在ができるような制度なのかどうかというのとともに、この300人という数自体に家族が入っているのかどうか。非常に大事なカウントの仕方だと思うんですけれども、これについてお伺いできますか。

○山北政府参考人 受け入れる外国人の在留期間につきましては、通算で3年または5年とする方向で現在関係府省で調整しているところでございます。この期間を超えない範囲内で、帰国、再度の入国は可能とする方向にしているところでございます。

また、家族の滞在につきましては、外国人材が一定期間後は帰国することを前提とする制度でございますので、認めない方向としているところでございます。

なお、先ほど御質問ございました300人の中には、家族は含まれておりません。

○丸山委員 明快にお答えいただいてありがとうございます。

だから、3年から5年の間、いろいろな人がいますね。ずっと恐らく来られる方もいれば、先ほどの御答弁だと、農閑期だけ来られて、また戻ってというのを繰り返して、長期的になりますけれども、しかし合計の年数が3年、5年になるという方もいらっしゃるのかもしれませんね。

そういった意味で受け入れていくということなんですが、少し長く、るるお伺いしてきましたけれども、何を言いたいのかというと、結局、安易に、安価な労働力として、現場ではニーズで欲しいと言っている中で、何とか制度の、抜け穴とまで言ったら失礼かもしれませんが、少したてつけが違うのに、実質的に農業の労働者として受け入れているわけです、これは農業だけじゃありませんけれども。

技能実習制度そして今回の特区制度、これから特区制度は、例のメードさん、家政婦さんのものも受け入れるということですから、非常にこれが今ふえていくことを危惧しているのはなぜかというと、結局、多くの方が失踪されているわけです。受け入れている中でも、日本人の失踪者の割合と比べても25倍以上。人口比で考えたときに、明らかに多い失踪者でして、毎年5,000人失踪、全体で2万人、制度ができてから2万人前後の方がどこに行ったかわからないというのが今の現状です。

これに対してはやはりしっかりと、制度の趣旨とずれますから、そして何より、最初の質疑よりさせていただいたように、難民の問題というのは世界じゅうで今くすぶっているという状況ですから、しっかりこれは対応しなきゃいけないと思うんですけれども、この失踪者や、もしくはその失踪者を雇う雇用者、これに対してしっかりと厳しい対応をとっていくというのは絶対に必要だと思います。これはますます増加が予想されますね、もっともっとふやしていくわけですから。

そうした中で、この取り締まり機関、外事警察、取り締まり機関の予算増とか人員の配備が私は必要だというふうに思うんですよ。今、テロ等準備罪の議論をしていますけれども、そもそも、組織的犯罪集団に、恐らくこうやって失踪された方は、きちんとした仕事につけなくなって、そうすると、そういう闇の、幾つかある薬物の犯罪だとか、また、マフィアみたいな形で、そういう下働きからとか、そういうのもふえると思いますので、こういったそもそものリスクを減らしていくためにも、この部分に対する人員と予算の増というのは非常に重要だと思うんですけれども、これについてどのように考えられているか、お答えいただけますでしょうか。

○佐々木(聖)政府参考人 法務省からお答えを申し上げます。

これまでも御答弁申し上げておりますように、この技能実習生の失踪問題につきましては、法務省としましても大変深刻に受けとめておりまして、ですからこそ、今般の抜本的な技能実習の適正化のための新法の創設ということをさせていただいた次第です。

もちろん、今先生に御指摘をいただきましたように、例えば摘発に行く入国警備官をふやすというような方策も考えられるのでありますけれども、まず入国管理局といたしましては、今後施行されますこの新たな技能実習制度におきまして、例えば、送り出し国との政府間取り決めにより、送り出し国や送り出し機関による技能実習生に対する制度趣旨の周知徹底を求めるほか、高額な手数料等を徴収する送り出し機関を排除してまいりますし、また、技能実習法とともに成立した改正入管法におきましては、技能実習生の逃亡にも対応できる新たな在留資格取り消し事由を創設しております。

これらの施策を駆使することによりまして、技能実習生の失踪対策を実施し、この5,000という数が確実に減少することを目指して新制度を運用してまいります。

○丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。

他国に対して言うのと、そして今お話があったような制度改正というのは、前回の質問を聞いていて、しっかりやっていただきたいと思うんですけれども、私はそれでも足らないと思っていて、今申し上げたような取り締まりの人員とか予算の確保、これをしっかりやっていかないと、結局、5,000減らすという今決意を述べていただきましたけれども、しかし、人数がふえるわけですから必然的にふえやすくなるのは見えていますからね。これに対して手を打てないんじゃないかなというふうに思うんです。

だから、そう言われないように、まずはしっかり現行制度をやっていただく。必要あらば、予算と人員の確保をもっとしっかりやってください。その場合は、我々も、野党ですけれどもバックアップして、やりましょうよと言っていきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

最後は、難民制度の問題をお聞きして終わりたいと思うんですけれども、難民の申請も、これまで質疑させていただいたように、ふえているんですよ。

5年前、2,500人だったのが、1万人を超えて、技能実習だけでも43人だったのが、5年間で、平成28年には1,206人の方が、技能実習で来たのに難民申請をしている。しかもそれは、恐らくほとんどの方は、本当に困っているような、チベットやシリアといった、ああいった難民の方が起こり得るだろうというところじゃなくて、明らかに就労目的で来ているだろうという方も多いのが、難民申請の今の一番の問題だと思うんです。

聞くところで、記事とか、いろいろな専門家に聞いていますと、留学生なら週28時間以下の労働時間なんですけれども、制限があるんですけれども、実習生は、先ほど来の3年、5年で働ける、しかし転職はできないという縛りがあるんですが、難民申請をしただけで、これが半年後からフルタイムで働けるビザに変更できて、職場も自由に選べる状況だと。

そして、難民申請の審査期間が大体8カ月ぐらいだというふうに聞きました、平均すると。大体半年から1年ぐらいで出るそうなんですけれども、それが不認定になっても、再審査みたいな形で異議申し立てを何度かできて、しかも、それを合計すれば数年かかるような人もいる。そうすると、再審査中に就職先が見つかれば就労ビザもとれる可能性もあるみたいな記事が出ているわけですよ。

専門家の方も、おおむね事実だというふうな見解をされているんですけれども、これは、そもそもそういう現状になっているんでしょうか。どうでしょう。

○佐々木(聖)政府参考人 ただいま御紹介いただきました記事につきまして、事実関係を御説明申し上げます。

まず、難民認定申請者の在留資格に関する現在の取り扱いについてですが、正規の在留資格を有する外国人から難民認定申請があった場合は、原則として特定活動の在留資格への変更を認め、さらに6カ月の経過後には、難民認定申請中の生活の安定を図るという趣旨から、原則、我が国での就労を認めるという運用を行っています。

次に、平均処理期間についてですが、平成28年における難民認定申請に係る平均処理期間は約8.5カ月でありまして、その後の不服申し立てに係る平均処理期間は約22.7カ月となっています。

なお、今御紹介いただきました記事のうち、不認定となっても異議申し立てが何度でも可能という点でございますけれども、難民不認定処分に対する不服申し立ては一回しかできませんが、その不服申し立ての手続を経て認定されなかった場合であっても、再び一から難民認定申請ができることとなっておりまして、恐らく、報道はその趣旨ではないかと思われます。

それからもう一点、いわゆる就労ビザが取得できるという、就労資格への変更についてですが、難民認定申請中や不服申し立て中であっても、特定活動の在留資格を有する外国人から在留資格の変更許可申請がなされた場合は、行おうとする活動が在留資格に該当することや法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること等について審査をし、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由がある場合には在留資格の変更を許可しております。

○丸山委員 これは非常に問題だと思いますよ。

例えば、技能実習制度もそうですけれども、先ほど特区もおっしゃいましたけれども、大体3年から5年、正規にいられるわけですよ。で、期限が切れそうになったら難民申請をする。難民申請すれば半年後には働けるわけで、そして、今の話だと、標準処理期間を考えたら、まず一回目が8カ月前後、そして、その後、再審査なり、もう一回、一から出せばまだまだ延びるということは、もっともっと働きたい人にとっては、合法的に難民という形でビザをとってしまえば就労が可能になっていく。しかも、それを支援するような、もちろん、難民で本当に困っている方を助けるというのが本来の趣旨であるはずなのに、一方で、そんなに政治的な難民とは言えないような状況なのに、働きに来るためだけにこれを利用されているような現状を変えないと、どんどんどんどんふえちゃいますよ。

ぜひ、この問題、就労の抜け道になっている現状について対策をお願いしたいんですが、どのようにお考えになっていますか。

○佐々木(聖)政府参考人 御指摘のとおり、近年急増する難民認定申請の中には、明らかに難民とは認められないような申し立て、あるいは同一の申し立て内容に乗って申請を何回も繰り返すケースが相当数存在しておりまして、この一定の条件を満たした難民認定申請者に我が国での就労を認めるというこれまでの運用が、今委員御指摘のように、就労するための抜け道として濫用、誤用されているものと私どもといたしましても認識をしています。また、このような事態は、真に庇護を求める方の迅速な保護に支障を生じかねないものであるとも認識しております。

そこで、入国管理局では、こうした濫用、誤用的な申請に対処するため、そうした申請につきましては、まず迅速に処理をするとともに、我が国での就労や定住を目的として難民認定申請を繰り返すような申請に関しましては就労を認めない措置、さらには、在留自体を認めない措置をとっております。

入国管理局といたしましては、こうした措置を確実にとっていくとともに、その効果も検証しつつ、さらなる対策についても検討してまいります。

○丸山委員 言える範囲で最大限言っていただいたと思います。ただ、結果が出なければ、国民の皆さんは、何やっているんだと皆さん思われると思いますので、しっかりお願い申し上げたいということを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

ありがとうございました。

   
  参照:国会会議録検索システム