全難連ホーム > 判決 > 異議申立手続
○ 裁判で決定が覆された事案の異議申立手続における主な異議棄却の理由
事例1
地裁で勝訴確定し難民認定された事案の異議棄却理由 出国から既に14年が経過/第三国で庇護を求めていない/来日後8年以上,合理的な理由なく難民申請せず/就労と本国家族への送金/本邦での特段目立たない活動/(活動や証拠資料が,弁護士との接触後に急速に展開・作成されており,難民性を誇張する目的だった疑い)  《棄却理由全文》
地裁判決摘要 ビルマ国籍の夫妻/夫は、基礎学級学生連盟の地域リーダーの一人として88年のデモに参加/反政府活動で4ヶ月の投獄/二度と政治活動をしない署名をして釈放/NLD青年部に加入/総選挙でのNLD圧勝後に監視がついた/政府批判のビラを配布しているところ、既知の兵士らに遭遇/直後に逃亡し、陸路でタイへ不法出国/タイで他人名義の船員手帳を取得し、海路で来日/ディペイン事件を機に政治活動を再開し、NLD-LAに加入/本国の父にMIが圧力をかけていると電話で聞き、危険を感じて難民申請をした/妻は、NLD-LAメンバー/夫と大使館前のデモ等に参加/以下判断/「迫害」は、通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって、主として生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味する/夫の供述の内容は、本国の政治状況と十分に符号する自然なもので、具体的かつ細部まで一貫しており、信用できる/夫は、政府からテロ組織と敵視されているNLD-LAの幹部であること、BBCミャンマー語放送で夫婦について放送されたこと、父が拘束・虐待の末に死亡したことを認める/申請の遅延には不自然でない理由あり/条約上の理由‐「政治的意見」(政治的活動)/夫は、相当期間にわたり庇護申請をしなかったもっともな理由がある/妻は、夫の活動を阻止する目的での虐待や拷問を受ける高い可能性がある/申請者らは難民に該当する
判決全文[2008年1月16日 平成18年(行ウ)第409号,第415号]
先頭に戻る
事例2
高裁で勝訴確定し難民認定された事案の異議棄却理由 本国でのデモ参加は大勢の中の一参加者に過ぎない/自己名義の旅券で出国/収監に関する供述に変遷/来日後7年間難民認定せず,逮捕後に難民申請/入国目的を収入と供述/デモに数回しか参加しておらず,雑誌の活動も月2回程度で,本国政府の注目を引くほどではない  《棄却理由全文》
地裁判決摘要 ビルマ国籍の男性/申請者は、1987年に廃貨令に反対するデモをし退学/1988年のタダビュー事件でデモに参加し警察により連行/政治活動をしないとの誓約書に署名して釈放/1990年に連行され、1年余り投獄された後に政治活動をしないとの誓約書に署名をして釈放/出稼ぎのためにタイに出国し船会社で稼動/本国に帰国/仕事がなく再びタイに出国/船員として来日し、その後、稼動目的で超過滞在となった/ディペイン事件を機に積極的に政治活動に関与し、雑誌に政府批判の文書を執筆(雑誌は、インターネット上で閲覧可能)/FWUBCに加入し、組織担当を務める/以下判断/供述の信憑性は部分的に認める/拘束された時期の供述が変遷しているが、20年以上前の事実に関する供述等で、多少の記憶の混乱は無理からぬこと/拘束の回数と期間についてはほぼ一貫しており、信用できないとまでは言えない/本国での活動で反政府活動をする者として政府に個別に把握されていた/インターネット閲覧可能な政府批判の文書が申請者の執筆であると認識できる/条約上の理由‐「政治的意見」(反政府活動)/正規手続で自己名義の旅券を取得して正規に出国が許可されたことや不法就労目的で本邦に入国したことをもって、直ちに難民該当性を否定するのは相当ではない/申請者は難民に該当する
判決全文[2008年2月8日 平成18年(行ウ)第491号]
高裁判決摘要 ビルマ国籍の男性/一審勝訴/一審を維持
判決全文[2008年8月27日 平成20年(行コ)第107号]
先頭に戻る
事例3 高裁で勝訴確定し難民認定された事案の異議棄却理由 本国でのデモ参加で逮捕されたが,母親が誓約書を書いて釈放/平穏に生活/自己名義旅券を取得して出国/6回の旅券更新/10数回の出帰国/来日動機を勉強と観光で政治活動を避けていたと供述/来日後5年以上難民申請せず/本国での活動は機械的労務に過ぎない/NLD-LAの活動は指導的立場にいない/在日大使館で旅券更新を拒否されたとの主張は信じがたい  《棄却理由全文》
地裁判決摘要 ビルマ国籍の女性/申請者は、1988年に全ビルマ学生連盟に加入して反政府活動をした/MIが自宅を捜索し、両親が支持活動をさせないとの誓約書に署名/美容院を経営し、器具購入のために近隣諸国を行き来/著名な活動家Tに頼まれて、学生運動の指示書や反政府誌の国内持込みに関与/シンガポール人と結婚し、シンガポールへ移住するが夫と不仲になった/観光目的で来日し、そのまま不法に残留/離婚後、民主化運動に積極的に関与し、地下組織に加入し、重要な情報や物資の流通に関与/NLD-LAのチャリティー・コンサートに歌手として出席/母が体調を崩したために帰国を考えて、大使館で納税と旅券更新を試みたが、政治活動を指摘されて拒否された/ディペイン事件後にNLD-LAに加入し、運営委員を務めている/軍政批判の公演活動を中核的に担い、その後、舞踏団を結成/チャリティー・コンサートの一つがBBCニュースで報道された/申請者は、警察が実家を捜索したと、実家に手紙や荷物を送ったり電話をするなとの内容の手紙を母から受けた/難民申請をした/以下判断/供述は、客観的証拠による裏付が少ないが、当初からおおむね一貫しており、信用できる/「迫害」は、通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって、生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味する/本国での活動を理由とした迫害を受けるおそれは認められない/申請者の芸能活動は、単なる伝統芸能の披露に留まらず、民主化運動を広く社会に知らしめ、反政府集会の効果を高め、民主化組織の経済基盤を強化する点で重要な役割を担っている/申請者は、民主化運動指導者と同じように本国に脅威を与える存在/母からの手紙で認められるように、政府により個別に把握されている/条約上の理由‐「政治的意見」/申請者は難民に該当する
判決全文[2008年8月22日 平成18年(行ウ)第528号,平成19年(行ウ)第359号]
高裁判決摘要 ビルマ国籍の女性/一審勝訴/地下組織‐ダウンオーウェー/NLD-LA主催のコンサートに歌手として出演/旅券更新を拒絶された/母の病気にもかかわらず帰国を断念/以下判断/主張が一貫している/説明的な母からの手紙の信憑性/NLD-LA執行委員への推薦/精力的かつ活発なデモ・会議への参加/芸能活動が当局に把握されている蓋然性を高める/一審を維持
判決全文[2009年2月19日 平成20年(行コ)第320号]
先頭に戻る
事例4 一審で敗訴するも高裁で逆転勝訴し難民認定された案件の異議棄却理由 機密漏洩は政治的意見に基づくとは言い難い/拘束された従兄弟は数ヶ月で釈放/自己名義旅券を発給されて出国/来日後10年間は活動せず,本国に多額の送金  《棄却理由全文》
地裁判決摘要 
判決全文[2007年9月26日 平成17年(行ウ)第408号,平成18年(行ウ)第274号]
高裁判決摘要 ビルマ・チン民族キリスト教徒の男性/一審敗訴/甥による証人尋問/1988年のデモ当時に病院で機密勤務(遺体を数えて記録する作業)/総選挙後,機密事項をTに話した/Tが機密情報が含まれるCNFのビラを配布/Tは尋問・暴行を受け,情報源を警察に話した/以下判断/申請の遅延は、それだけで迫害のおそれを否定することは相当でない/条約上の理由‐「政治的意見」/60日ルール‐「やむを得ない事情」あり/申請者は難民に該当する
判決全文[2008年10月23日 平成19年(行コ)第354号]
先頭に戻る
事例5 高裁で勝訴確定し難民認定された事案の異議棄却理由 反政府活動を理由とする逮捕・取調べの経験なし/出国するまで弁護士活動を継続/自己名義旅券を発給されて出国/来日後16年間,特に合理的な理由なしに難民申請せず/日本での活動は一般メンバーの活動の域を出ず,反政府活動全体に影響しない  《棄却理由全文》
地裁判決摘要 ビルマ国籍の姉妹/姉、NLD党員かつ上級弁護士/弁護士への迫害の危険性/1997年のカラス作戦/政府はNLDと弁護士の関わりを嫌悪/アウンサンスーチーとの少人数の集会に参加/O事件/妹は、公務員/8888運動に職場で参加/本国では姉と生活/NLD支持者/他人名義の旅券で不法出国/ディペイン事件を機に活動再開し,LDBに入会/以下判断/姉は、重要な部分の供述に変遷なし/供述は具体的かつ迫真的であり信用性が高い/ミャンマーは階級社会/ディペイン事件を機に活動再開し,LDBに入会/自己名義旅券での出国が難民該当性を否定するとは限らない/不法な単純労働に従事するための出国とは考え難い/姉は難民に該当する/妹は、昇進の遅れは政治活動が理由ではない/デモの一般参加者にすぎない/従属的ないし間接的な政治活動/妹は難民該当性なし
判決全文[2009年1月20日 平成19年(行ウ)第649号,650号]
高裁判決摘要 ビルマ国籍の姉妹/一審勝訴/一審を維持
判決全文[2009年9月16日 平成21年(行コ)第57号]
先頭に戻る
事例6 一審で敗訴するも高裁で逆転勝訴し難民認定された案件の異議棄却理由 バンドでの活動は数回に過ぎない/日本での活動を理由にブラックリストに載ったとは信じ難い/父親からの手紙の信用性は低い/NLD-LAでの活動は,反政府活動全体に影響するような目立ったものではない  《棄却理由全文》
地裁判決摘要 
判決全文[2008年6月27日 平成19年(行ウ)第486号]
高裁判決摘要 ビルマ人国籍の男性/一審敗訴/ミャンマー学生民主連盟メンバーとして88運動に参加/クーデターを契機に民主化運動から離れた/「短期滞在」で日本に上陸/ビルマ人バンドに加入/当初は政治的意図なく,民主化運動団体主催のコンサートに参加/民主化運動団体主催のコンサートに参加‐海外から招致したビルマ難民のチャリティーコンサートに参加/反体制歌を演奏/軍から本国の妻に警告/他のバンドメンバーらとNLD-LAに加入/大使館員からBLに載っていると知人に警告/本国の自宅に警察が捜索,電話で弟から知らされる/以下判断/民主化運動の「広告塔」としての活動/条約上の理由‐「政治的意見」/難民に該当する
判決全文[2009年4月30日 平成20年(行コ)第329号]
先頭に戻る
事例7 一審で敗訴するも高裁で逆転勝訴し難民認定された案件の異議棄却理由 本国でのデモ参加は大勢の中の一参加者に過ぎない/自己名義の旅券で2回出国/旅券の更新を2回/来日後6年間難民認定せず,就労して本国に多額の送金/演奏活動は政治活動ではないと自認/ブラックリストに関する供述の信憑性に重大な疑義/本国の家族は拘束や拷問を受けていない/NLD-LAでの活動は,数回デモに参加しただけで,反政府活動全体に影響するような目立ったものではない  《棄却理由全文》
地裁判決摘要 
判決全文[2008年9月9日 平成18年(行ウ)第595号,平成19年(行ウ)第328号]
高裁判決摘要 ビルマ国籍の男性/一審敗訴/高校学生連盟メンバーとして88年のデモに参加/船員として日本に入国/ビルマ人バンドのリーダー/民主化運動団体主催のコンサートに参加‐海外から招致したビルマ難民のチャリティーコンサートに参加/軍政批判の政治的な歌を多く演奏/大使館員からBLに載っていると知人に警告/バンドメンバーがNLD-LAに加入,帰国不可を怖れて数名が脱退/他のメンバーの状況/本国の自宅に警察の捜索/以下判断/姉からの手紙は信用性あり/条約上の理由‐「政治的意見」/難民に該当する
判決全文[2009年4月30日 平成20年(行コ)第267号]
先頭に戻る
事例8 一審で敗訴するも高裁で逆転勝訴し難民認定された案件の異議棄却理由  《棄却理由全文》 
地裁判決摘要 
判決全文[2008年4月11日 平成18年(行ウ)第596号,609号,平成19年(行ウ)第115号,116号]
高裁判決摘要 ビルマ国籍の夫妻/一審敗訴/信憑性判断に当たっては難民の特殊性を考慮/妻は、88年のデモに参加/拘束・拷問の経験/ABSDF活動員の兄を支援/ABSDFキャンプを訪問/同郷学生の反政府運動を支援/陸路で不法出国/自分名義の偽造旅券と入国査証をタイで入手/他人名義の偽造旅券で韓国から日本に入国/兄が投獄され,「妻」の情報も軍に知られる/以下判断/妻は、供述の大筋においてほぼ一貫/兄への判決書は不自然/条約上の理由‐「政治的意見」「帰属された政治的意見」/妻は難民に該当する/夫は、難民該当性なし/妻の難民該当性/5年以上の婚姻生活/社会通念上著しく妥当性を欠き,裁量権を逸脱・濫用しているため在特不許可処分は違法
判決全文[2009年5月27日 平成20年(行コ)第204号]
先頭に戻る
事例9 地裁で勝訴確定し難民認定された事案の異議棄却理由  《棄却理由全文》
地裁判決摘要 ビルマ国籍の一家3人/母は,8888当時は大学生で,デモに参加/91年デモに参加し,2日間拘束,署名と賄賂で釈放/監視されていると感じてM市に逃亡/MIに捜されているため怖くなり,93年2月に空路で出国し,タイ経由で来日/ブローカーを使い旅券取得/来日後,Cの活動を手伝う/著名な活動家が集まるミャンマー料理店Sでアルバイト/Cと共にBWU日本支部を立上げ/出産前後以外は活発に民主化運動に参加/DFBに加入/父は,ウタント暴動に参加し,警察による尋問を受けた/大学卒業後,国営石油工場に勤務/政府批判のビラを職場で配布し,退職/Y市で家業を手伝いながら,民主化グループをつくり,8888運動に参加/警察に3回呼び出され取調べ/軍政打倒を暗示する詩を知り合いらに配布/地区評議会幹部から警告を受け,91年3月に空路でタイに出国/92年2月に他人名義の旅券で来日/来日後,しばらく活動せず/母と知り合い,母の活動を支援するようになった/DFB日本支部に加入/子は,日本で出生した未成年者/以下判断/反政府活動を裏付ける客観的証拠がないというだけで、供述の信用性を否定するのは相当ではない/一部の記憶違いや不一致を除けば、父の供述内容はほぼ一貫している/「迫害」は、通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって、生命又は身体の自由の侵害又は抑圧/母を反政府活動家として政府が個別に把握していないとは考え難い/父は反政府活動家として政府により把握されていたと考えられる//正規手続での自己名義旅券の取得や旅券の更新は、難民該当性のマイナス因子だが、直ちに難民該当性を否定するのは相当ではない/日本の低い難民認定率を考慮すると、長期間難民申請をしなかったことは十分理解できる/来日が不法就労を目的としていたとしても、難民該当性が否定されるものではない/条約上の理由‐「政治的意見」(本国および日本における反政府活動)/父母は難民に該当する
判決全文[2010年1月29日 平成20年(行ウ)第261号,第273号,第274号]
先頭に戻る
事例10 地裁で勝訴確定し難民認定された事案の異議棄却理由  《棄却理由全文》
地裁判決摘要 ビルマ・カチン族キリスト教徒の男性/申請者は、カチン州M市で出生、生活/中学生のとき、1988年のデモに参加/デモで1人が射殺され、デモ後に知人2人が逮捕された/申請者は、1ヶ月間自宅内に隠れ、その後KIA支配地域に逃亡/政府軍によりポーターとして徴用され、暴行を受けた/異母兄は、ポーターで人間地雷探知機をさせられて死亡した/申請者は、翡翠ブローカーをする傍らで、KIAのために食糧や薬を調達する活動に従事/KIA地下活動の元指導者が殺害され、同僚が逮捕された後、M市に帰郷/NLDに入党するが活動はしていない/KIA関連のビジネスに従事/KIA関連で逮捕されることを恐れ、ブローカーを介して旅券を入手して出国し、空路来日/DKNとAUNに加入し、積極的にデモ等に参加/超過滞在で逮捕後に難民申請/以下判断/「迫害」とは、通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって、生命又は身体の自由の侵害又は抑圧は、これに該当する/供述はおおむね一貫/年齢や暦年を意識して記憶していない供述態度があるが、事実事態の供述の信用性は失われない/弁護士の援助を受ける以前と以後の主張の力点の変遷は、不自然ではない/客観国情報は、停戦後のカチン族へのポーターなどの強制労働を示す/この強制労働は、通常人において受任し得ない苦痛をもたらす身体の自由の侵害に当たる/カチン族は強制労働に徴用される可能性がある/末端メンバーを含むKIAメンバーであることにより拷問や虐待を受けるおそれあり/日本での積極的な反政府民主化活動におり、積極的な反政府活動家として敵視されている/「その他大勢の活動家」が迫害を受けるおそれ(横田陳述書の前提が崩れていること、仮に極めて冷静で賢い政府なら「その他大勢」からランダムに迫害するであろうこと、そもそも迫害の意思がなければ「その他大勢」を把握する必要がないこと、等)/条約上の理由‐人種(カチン族)、特定の社会的集団(KIA、DKN)、政治的意見(反政府民主化活動)/申請者は難民に該当する
判決全文[2010年3月8日 平成19年(行ウ)第8号]
先頭に戻る
ホームに戻る 判決のトップに戻る